ドイツの街を歩いていると、あちこちで目にする黄色い郵便ポスト。「なぜ黄色?」と不思議に思うかもしれません。日本の赤いポストとは対照的なこの色、実は歴史的な背景があるのです。ドイツの郵便を担う「Deutsche Post(ドイツポスト)」のシンボルカラーである黄色は、視認性の高さだけが理由ではありません。その起源は、神聖ローマ帝国時代にまでさかのぼります。
15世紀末、神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世(1459–1519)は、貴族のタクシス家(のちのトゥルン・ウント・タクシス家)に郵便業務を委託しました。当時の郵便配達人である「ポスティリオン」と呼ばれる使者は、黒い縁取りのある黄色い制服を着用していました。これは神聖ローマ帝国の象徴色でもありました。その後、郵便業務を担う制服の色にはさまざまな変遷があり、例えばプロイセンでは濃紺とオレンジの組み合わせが採用された時期もありましたが、最終的に視認性の高さから黄色が主流となりました。
そして1946年、連合国管理評議会によって、ドイツ全土の郵便のカラーとして正式に黄色が採用されました。この決定により、現在もなおドイツの郵便ポストや郵便車両は黄色で統一されています。
そんな歴史を思い浮かべながら、ドイツの街角で黄色いポストを見つけたら、ちょっとした旅気分を味わえるかもしれません。